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【映画】ボーはおそれている

ボーは恐れていると言う映画をやっと観ました。アリ・アスターの最新作なので、映画館で観ようかと思っていたのですが、上映時間3時間にひよってしまい、サブスクを待つ事に。
アマプラに追加されてから随分と経ち、やっと観ました。まだまだ観たい映画沢山あるのでちょっとずつ観進めていかなきゃ。

3時間と言う割には飽きずに観れたなと思います。なにせアリ・アスターが割と好みなので。ただ、例に漏れず、嫌いな人はめちゃくちゃ嫌いだし、多分飽きる。
大体はミッドサマーと同じ感じです。じわじわと感じる違和感と恐怖、それから不快感を楽しむ様な。ちゃんとグロさはあるし、人の嫌な部分も観れるので苦手な人は観ない方が良い。ホラーっぽいシーンなんてどこにもないのに、作中の音や音楽が完全にこっちの不安を煽っているので、大分意図して怖がらせようとはして来てます。ただ、別に怖くない。ミッドサマーもホラーと名打ってはいるけれど、別に怖くないので、そこは安心して良い。ジャンプスケアはありません。それだけで私はひと安心。

内容を簡単に説明すると、主人公ボーがマジで治安の悪すぎる街から亡くなった母の葬式に向かう話。まあ、3時間もあるので向かって葬式出て終わり!と言うわけではない。勿論。端的に言えば悪夢を3時間見せられるという表現が一番だと思う。
この映画がどう言うものなのか、もっと分かりやすくいえば、アニメ映画『パプリカ』や『パーフェクトブルー』と全く同じ。ていうか今思えばめちゃくちゃ『パーフェクトブルー』に似ているなぁと思った。現実と虚構、妄想がごちゃ混ぜになって境界線が分からなくなってくるような、そんな話。冒頭の精神科医?カウンセラー?との会話からも分かる通り、主人公は何かしら精神的な疾患を持っていて、その影響で幻覚が見えているのかもしれない。どういう疾患なのかはずっと不明だけれども。
とにかく、シーンの半分以上がどう考えても現実じゃないだろみたいな事が多いけれど、それがさも当然の様に景色に紛れ込んでいるので訳が分からなくなる。正直、街で殺人が横行して死体が道端に転がっているのだって、あまりに自然すぎて驚くぐらい疑問視しなかった。馬鹿すぎる。見た瞬間、疑問に思えよ。
おそらく、この話は上記以外にも家族や性的な部分がかなり重要なテーマになってくるんだと思う。主人公と母親の関係性、主人公の性的な事への認識について、そう言った主人公の中にあるものが全部視覚情報として婉曲に表現されているのだと思う。主人公の劣等感やトラウマが、おそらく沢山反映されているはず。分かりづらすぎて、私はそう思っているの域を越えない。私には明確な答えを出せません。私が考察も出来ないし、察しも悪い方なので本当に見たままを述べるしか出来ないのであんまり真面目に読まないでほしい(映画レビューなんか読んでる人多分いないだろうけど)。
それとちんちんの怪物がいる(唐突)。本当に、ちんちんの怪物がいるので、気を付けてほしい。本当にいるんです、ちんちんの怪物が。言いたいだけだろ。

これはあくまで個人の感想やレビューであって考察とかでは全くないので、ふーんくらいで見てほしい。映画体験としての胸糞、不快感、多少のグロさ、不安、これらが好きな人は多分面白いと思うので、アリ・アスターが平気な人は是非ともご視聴ください。ちんちんの怪物もいます。
ていうかよくよく調べて見たらジャンル的にはホラー・コメディらしいです。嘘でしょ。ミッドサマーの方が全然笑えた。
アリ・アスターといえば、ヘレディタリーも有名なので観たい…とは思うのですが、なにせヘレディタリーはかなり本気のホラー映画だそうで、ホラー好きのおすすめランキングや怖さランキングにも必ず入ってくる様なもの。ジャンプスケアのない軽度なものはまだしも、ガチガチのホラーは本当にダメな人なので、視聴は多分難しいかなと思います…。一緒に観てくれる人がいれば大丈夫なのだろうか。

【映画】オオカミの家

オオカミの家という映画を観ました。ストップモーションのアニメ映画です。無料公開されてたのでやったー!と思って。アリ・アスターが絶賛してる時点であまり気持ちの良いものではないのですが(確信)、私もそういうのが好きです。
ストップモーションアニメでいえば、私はコープスブライドやナイトメア・ビフォア・クリスマスが狂おしい程好きなのですが、それらとは全く違うというか。場面毎に丁寧に舞台が作られるのではなく、サンドアートのように我々の目の前で構成されていくタイプのもので、新鮮で驚き。

厳しい村にうんざりしたマリアという少女が夜中に村を逃げ出し、子豚が二匹迷い込んでいた家に辿り着いて、というお話です。登場人物の造形は、造りの荒い人形だったり、壁画だったり、色々な見せ方をされる。マリアは子豚と過ごし、徐々に母性の様なものも芽生え始め、家族ごっこの様に食卓を囲む様になる。とはいえ、子豚が喋るわけもないので、おそらく村にいた頃からお得意のマリアの妄想だと思ったのだけど。後半へ話が進むに連れて、何が嘘で何が本当か分からなくなってしまった。本編で別にこれはマリアの妄想ですとは一切言われないので、もう何が何だか分からず見ていました。
最初はマリアが子供に見立てた豚二匹を支配して、村の人たちにされた様な束縛で、毒を撒き散らしていく様な、そんな話だと思っていたのに。全く違ったことに、頭が混乱した。いつ、マリアによる支配の空気が逆転したのか分からないほど自然に、何もかもが反転して、マリアがわからなくなる。
最初はオオカミから逃げていたのに、そのオオカミに助けを求め始めて、結局元いた場所へ戻ってしまう。逃げられないと言う事なのか、繰り返すと言う事なのか、養育のやり方は継承されると言う事なのか、おそらくそうだとは思うが、確信が持てないからもう何となくで全部観ていたけれど。

後々調べてみると、内容を理解するにはこれが何がモデルで〜みたいな後ろ側を前提として理解しなければいけないっぽい。ネタバレ大丈夫な人は見る前に、ネタバレが嫌な人は観た後に必ず調べる事をお勧めします。
簡単に説明すると、このマリアちゃんが元々いた村のモデルはナチスから追放されたロリペド虐待ヒトラー信者が作ったコロニーでほぼカルト宗教。そこからマリアちゃんは逃げてきたと言う事で、作中では語られない設定が明かされる事で話がグッと重くなる。
逃げ出してきたのに、豚二匹にコロニーでやられた様な教育や躾をしてあの場にいる大人に似てきてしまう事、結局一人では生きられずカルトに染まって大人になってしまう事。まさしく宗教とはなんたるかを表した作品。女の子と豚二匹が狼から逃れながら平和に暮らす〜というお伽話だけでは収まらなくなってしまった。

怖さで言えば、そう言う宗教の恐ろしさは書かれているけど、表現的にはそこまで怖くないはず。ちょっと不気味だなくらいでジャンプスケアとかはないので、雰囲気に耐えられる人は見れる。ただ雰囲気は割と怖いかもしれない。

映画系のYouTuberやTwitterでよくおすすめしているので、ご興味がある方は是非試聴してみてください。
※観てこれを書いてから、出すのが遅すぎてもうYouTubeの無料公開が終了している可能性がある。本当にごめんなさい。U-NEXTとかで観た方が良いかもです

【映画】武器人間

念願の武器人間!観ました!わーい!
あらすじとしてはドイツに偵察に来たロシア軍の部隊が人がめっちゃ死んでる教会の地下で化け物に襲われて銃で応戦したり逃げたりする話です。
元々クリーチャーのビジュアルを知っていて、マジでカッコよくて、なんかフィギュアとかあったら買っちゃいそう…とか思ってるくらい惹かれていた。でもめちゃくちゃグロいとか画面の手ぶれがすごくて酔うとか言われてて日和っていたのだけど、ついにその日の勢いで観た。なお、原稿作業と同時進行のため、画面は小さく、原稿が出来るようにしながら(正味、日和ってた部分はある)。
マジでグロい。目の飛び出た腐った死体とか、バラバラの人体とか当たり前のように出てくる。脳みそは抉り出されるし、とんでもねぇ。でも脳みそ弄り始めたあたりは、まがりなりにもB級映画なので作り物感が強くてゲラゲラ笑ってました。終盤にもなれば慣れてくる。
私がビジュかっけー!と思っているクリーチャーはモスキートとナースちゃんです。モスキートは武器人間と調べれば一番最初に出る看板クリーチャー。映画を背負っているだけあって、姿はかなりカッコいい。高さのある手足(手?)にまさしく蚊のような長い口を持ったマスクをつけている化け物。本当によくできたデザインすぎる。何かしらのゲームにいそうなのにB級映画のちょい役で終わっている。勿体なさすぎる。
ナースちゃんはイカれ博士の助手として死体をバラしたり、脳みそ抉り出したりしているクリーチャー。この子だけは真っ白で、血の赤が生える綺麗なデザイン。身に纏った白い布の下はビキニみたいな金属の装甲を身に付けていて、柔らかさと無骨さのバランスが良くて、堪らんデザイン。良すぎる。ちなみに私がずっとナースと言っていたクリーチャー、正確にはマミィ・エヴァと言うらしいです。中盤で死んだ看護師が早速改造された成れの果てだそう。仕事がはえぇ博士だ…。
ナースちゃんのそばをちょろちょろしているポットマンくんもめちゃくちゃ可愛かった。癒される。あの映画においてクリーチャーが癒しになるの意味分からんくておもろい。
ちなみにこの映画、バイオハザード8とちょっと揉めていて、作中に出てくるプロペラ頭のクリーチャーが、バイオ村にそのまんま出てる事で有名。私もバイオ村は実況動画を見たのでプロペラくんは知っていたし、実際見てもマジで似てるなと思った。ていうか途中で出てくる手がハンマーの改造体も普通にハイゼンベルグと近くはあるんだよな…。体型的にも。
武器人間内のプロペラくん、動きも遅いし、プロペラ部分でしか攻撃出来ないし、後ろから配線切られたら勝手に燃えて死ぬので、ただの雑魚でした。本当に雑魚でびっくりした。プロペラで一人は仕留めてたけども。そんなプロペラくん、名前をジャパンヘッドと言うらしい。飛行機の前部プロペラを着けた化け物を『ジャパン』ヘッド…。とんでもないブラックジョークだ…。風刺が効いてる。

ここまでクリーチャーの話しかしていないので、映画の感想を言いたい。手ぶれがすごくて気持ち悪い。グロさと言うか、画面酔いの方がキツい。いや、グロくもあるけど、私はグロいだけで気分は悪くならないタイプなので、画面酔いが一番しんどかった。本当に視点が安定しない。POV形式にしてももっとブレを少なくしてほしかった。
登場人物も、全然分からない。名前と顔がずっと一致してなかった。イヴァン、ディマ、サシャ、セルゲイって良く名前を聞いたけれど、誰が誰でどうなったかは最後まで全く分からんかった。ずっとギャハハ!死んだー!クリーチャーかっけー!って感じで観てた。
どうやらディマは終盤にかけて撮影をする主人公的な人(この人はこのイカれ博士を連れて来いとの名を受け、偵察隊を博士の研究所に作為的に迷い込ませていた)らしい。
イヴァンはクリーチャーに襲われて治療しようとしたら脳みそが剥がれて死んだやつ。後々博士に改造されてディマを気絶させた。
セルゲイは本来の部隊の指揮官が死んだ後、代理で指揮官をしていた人。自分達を騙してヤバいところに連れてきたディマを恨んで悪態を吐くけど、最終的に死ぬ。
サシャは部隊の一番下っ端。コイツが五体満足、唯一の生存者。調べるまで何一つ分からんかったです。雰囲気で観過ぎだろ。
最初の民家を襲ったりジジイを拷問するまでは全然、マジで面白くないんだけど、中盤からのこれでもかと化け物が襲ってくるターンはめちゃくちゃ面白かった!良いデザインのクリーチャーがそこからどこから飛び出てくる!ホラーゲームみたいでドキドキして楽しかった!
あと全体的に音がいい。肉が擦れる音、武器を引き摺る音、エンジン音、刃物がぶつかる音、機械武器の可動音、全部が良かった。ゲーム的で、はっきりしていて気持ちが良い。武器人間の機械音がすると空気がやばい!って感じで緊張感出るところがすごく良い。そうだよね、ゲームでもそういう音したらやばい!ってなるもんね。銃構えるもんね。

内容、というよりかは完全にクリーチャーを楽しむエンタメ映画(マジでグロい)。小さい頃からたまに人間の体と動物の頭をした化け物やら、武器人間を描いていた悪趣味女児をやらせていただいていた私としては堪らなく素晴らしい映画でした。ほぼデザインポートフォリオ的な見方なんだよな。あんなに良いデザインで、あのカプコンがまんまパクるくらいなのに、B級映画で終わってるのが、なんだか物寂しい。
趣味の悪い変態以外の視聴はお勧めしません。