オオカミの家という映画を観ました。ストップモーションのアニメ映画です。無料公開されてたのでやったー!と思って。アリ・アスターが絶賛してる時点であまり気持ちの良いものではないのですが(確信)、私もそういうのが好きです。
ストップモーションアニメでいえば、私はコープスブライドやナイトメア・ビフォア・クリスマスが狂おしい程好きなのですが、それらとは全く違うというか。場面毎に丁寧に舞台が作られるのではなく、サンドアートのように我々の目の前で構成されていくタイプのもので、新鮮で驚き。
厳しい村にうんざりしたマリアという少女が夜中に村を逃げ出し、子豚が二匹迷い込んでいた家に辿り着いて、というお話です。登場人物の造形は、造りの荒い人形だったり、壁画だったり、色々な見せ方をされる。マリアは子豚と過ごし、徐々に母性の様なものも芽生え始め、家族ごっこの様に食卓を囲む様になる。とはいえ、子豚が喋るわけもないので、おそらく村にいた頃からお得意のマリアの妄想だと思ったのだけど。後半へ話が進むに連れて、何が嘘で何が本当か分からなくなってしまった。本編で別にこれはマリアの妄想ですとは一切言われないので、もう何が何だか分からず見ていました。
最初はマリアが子供に見立てた豚二匹を支配して、村の人たちにされた様な束縛で、毒を撒き散らしていく様な、そんな話だと思っていたのに。全く違ったことに、頭が混乱した。いつ、マリアによる支配の空気が逆転したのか分からないほど自然に、何もかもが反転して、マリアがわからなくなる。
最初はオオカミから逃げていたのに、そのオオカミに助けを求め始めて、結局元いた場所へ戻ってしまう。逃げられないと言う事なのか、繰り返すと言う事なのか、養育のやり方は継承されると言う事なのか、おそらくそうだとは思うが、確信が持てないからもう何となくで全部観ていたけれど。
後々調べてみると、内容を理解するにはこれが何がモデルで〜みたいな後ろ側を前提として理解しなければいけないっぽい。ネタバレ大丈夫な人は見る前に、ネタバレが嫌な人は観た後に必ず調べる事をお勧めします。
簡単に説明すると、このマリアちゃんが元々いた村のモデルはナチスから追放されたロリペド虐待ヒトラー信者が作ったコロニーでほぼカルト宗教。そこからマリアちゃんは逃げてきたと言う事で、作中では語られない設定が明かされる事で話がグッと重くなる。
逃げ出してきたのに、豚二匹にコロニーでやられた様な教育や躾をしてあの場にいる大人に似てきてしまう事、結局一人では生きられずカルトに染まって大人になってしまう事。まさしく宗教とはなんたるかを表した作品。女の子と豚二匹が狼から逃れながら平和に暮らす〜というお伽話だけでは収まらなくなってしまった。
怖さで言えば、そう言う宗教の恐ろしさは書かれているけど、表現的にはそこまで怖くないはず。ちょっと不気味だなくらいでジャンプスケアとかはないので、雰囲気に耐えられる人は見れる。ただ雰囲気は割と怖いかもしれない。
映画系のYouTuberやTwitterでよくおすすめしているので、ご興味がある方は是非試聴してみてください。
※観てこれを書いてから、出すのが遅すぎてもうYouTubeの無料公開が終了している可能性がある。本当にごめんなさい。U-NEXTとかで観た方が良いかもです