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【映画】関心領域

ずっと観たかったシリーズです。ようやっと観ようと言う気になりました。配給会社A24、最近マジで名前をよく見る。ハズビンでも見た。
今回の映画は、あまりつらつらと語るのも何だか野暮な気がしてならないので短めだと思います。ちなみにこちらの映画、カンヌとアカデミー獲った映画になります。

これはドイツ人家族の日常を映した映画となっています。幸せそうな家族の日常が、淡々と描かれていて、劇的なストーリーは存在しない。子供が泣いて、遊んで、犬が吠えて。女性達が服を取り合い、農園で野菜を育てる。仕事で忙しい父親と川遊びをして、伸び伸びと過ごすだけの映画。それだけだったら、どれだけ良かったか。
本当にストーリーはマジでつまらない。家族の日常を本当にカメラで映しているだけなので。つまらないと言うか、無い。この映画において、注目してほしいのは物語の筋書きでも、もはや映像でもなく、『音』。これに尽きる。
子供のけたたましい鳴き声、犬の吠え声、鳥の囀り、生活音、すべての間によく耳をすませてほしい。我々の生活の中にはあるはずのない、あってはいけない音が聞こえてくる。
最初はその音は環境音に溶け込んで、時折聞こえる。周りの音に掻き消されて、最初は気のせいかと思うのに。段々と存在が主張を見せ始めてから、私たちは悍ましい事実に対面させられる。その光景は何一つ映らないのに、何が行われているのか、想像は容易で。どう考えても只事ではない音に心が騒ついて、不安になる。
でも、映画に映る家族達は何食わぬ顔で生活をしている。まるでそれが間違っていないかの様に振る舞っている。そんな残酷な対比や光景は、その当時本当にあった光景だと思うと本当に恐ろしい気持ちになる。

この映画、すごく映画館で観たかったなと思いました。サブスクだと拾える音に限度がある。映画だったらもっと質感を持って音を楽しめたのかもと思ったり。リバイバル上映とかあったら行っちゃうかも、マジで。
ただ、何度も観ておもしろ〜!ってなる様な映画では一切無いし。そんな感情を持ってはいけないとも思うし。ていうか、割と視聴後の後味悪めだし、心に引っ掛かるものは大分あるので、共感性の高い人とかあんまりおすすめできないかもしれない。多分、普通に病んじゃうと思う。
鬱映画観ても大概わ〜キショ〜ってなるだけの私ですら、結構元気無くなった。これダンサーインザダーク観た後と同じ感情になってる。それで察して。今度ダンサーインザダークのブチ切れレビュー書きます。ので、今一度観ようと思います。ほぼ自傷行為なんだよな。
まあ、ただ題材が題材で、おそらくその題材の問題点や糾弾されるべき部分をかなりしっかりと感じる事が出来るので、観るべきではある。目を逸らしてはいけない話ではあるのだけども。でも、本当にメンタルヤバい人とか共感力高い人はやめた方がいいとも思う。そう言う映画でした。
私は視聴後のこの感情がたまらなく好きで癖になっているんだと思う。この、何とも言えない後味の悪さ。喋る気力を無くしてしまう様な重たい感覚。心に残る不快感。感情が動いてる感じが凄く楽しい。ど変態?
うーん。観れて良かった。