被告人、弁護のしようもありません

男の隣には女がいた。清潔なブラウスにシンプルなスカートを履いた清楚な女だった。だが今は女ではなくて、いや、女も重要なのだけれど、とりあえず隣のあまりにも見知った男の事を気にせざるを得なかった。
「女
二十代も後半に入り始めた昨今、結婚を意識し始める様になってきた。付き合っている彼氏とのその先を想像や期待も、段々と大きくなり始めた今日この頃。絶賛交際中の彼氏は今、武道の目の前で他の女と肩を並べて歩いている。
いや、カクちゃんの勤めてる会社の人かも。事務員さんとか」
たかが女と歩いているだけで浮気だなんて早計だ。もう少し心を広く持てと自分に言い聞かせる。浮気は許せないけれど、女と一緒に歩いているからって誰彼構わず目くじらを立てる程、武道も異常な束縛の性質がある訳ではない。そんな彼女が気になる程、彼と女の距離というか、空気感は普通とは違った。それは武道の心をざわつかせた。
勿論、鶴蝶を信じていない訳ではないが、それでも疑念は頭を過ぎる。だってほら、カクちゃんって顔が良いし身体もがっしりしてて嫌でも女の視線集めちゃうし。それにさ、男は狼だって言うじゃんか。その気になれば割と誰でもすぐに手を出すんだろうし。もう私達の間には付き合いたての初々しさみたいなものはないんだから、私に飽きちゃってるかもしれない。何が起こるか、どう心が変わるかなんて分りゃしないもの。
鶴蝶は誠実で優しい、女にとってまるで理想の様な男であり武道もそう思っている。浮気なんてしないと信じているけれど、どうしても疑ってしまうのだ。やろうと思えば引く手数多なのだからその意思さえあれば簡単だし、もしかしたらもしかするのかもしれない。二十代後半、結婚適齢期の女が数年交際した彼氏に浮気の末、ポイ捨てだなんて最悪なシナリオが浮かんで血の気が引いた。
「いや、いやいや、違うって。考えすぎだよ
女の勘は鋭いなんて言うけれど、武道の勘は別に誇れる程鋭くはない。外れる時は外れるし、当たる時は当たる。この違和感も杞憂だろうなと心を落ち着かせて鶴蝶の方向に顔を向けた。
しかし武道の目に映ったのは衝撃のワンシーン。鶴蝶と女の手が軽くぶつかり、お互いに肩を揺らす。そうして顔を見合わせて照れ臭そうに笑う、そんな場面だった。それはまるで恋愛映画の様なシチュエーションだ。
武道は踵を返す。ゆっくりと長く長く溜息を吐いて『あー』と声を上げた。通行人がこちらを見てくるが今はそれどころではない。額を押さえながら、武道は面倒臭そうに言葉を絞り出した。
「うわぁ出たぁ
まだ証拠が出た訳ではないし、決定的な場面を捉えたと言う訳でもないけれどそう思ってしまう。心の中に絶望と、呆れと怒りが一斉に湧き上がり、反動で溜息は溢れた。楽しそうな二人に今一度冷めた目を向けて、舌打ちをする。想定していた最悪のシナリオが目の前にある様な気がして身体は重くなった。
武道は強かった。伊達に男に混じってヤンチャをしていた訳ではないし、刃物や銃器と真っ向から対峙した訳でもない。たかが浮気、されど浮気ではあるけれど、物理的な命のやり取りがない分、より積極的に動く気になれた。
武道は思ったのだ。まずは真偽を確かめて万が一、決定的な証拠を掴んだ場合、証拠に次ぐ証拠を集めまくって鶴蝶を社会的に抹殺してやろうと。結婚はしていないので慰謝料とかは無理だけれど、心からの謝罪と後悔をさせてやろうと。今まで優しくしてくれた男ではあるし彼から注がれる愛情も忘れられないけれど、本当に浮気だとしたら裏切ったのは向こうなので。気が済むまでボコらないと腹の虫は治らない。別れるならしっかりと落とし前をつけたかったし、罪悪感で潰されそうな彼が見たかった。何せ結婚適齢期の女の恋愛遍歴にも心にも傷を付けた事になるので。
「でも証拠集めとかどうすれば良いのか分かんないし、隠し事とかも絶望的に苦手だしなぁ。直接聞けたら早いんだけど、それだけだと私の腹の虫が収まらんと言うかさぁ、本当にやってたらの話だけども」
直接聞いて馬鹿正直に答える奴なんていないだろう。けれども正直に尋問する以外のやり方が分からなくて頭を悩ませる。
まあ、多少探りを入れるくらいなら許させるか?それでまた変わるかも知んないし、なんか変だなって思ったら頑張ってなんとかすれば良いし!」
具体的な事は何一つ思い浮かんでいない。だが頑張る事だけは割と出来るので、どうにかなるのではないかとここに来て楽観視である。そんな彼女を突き動かすのは怒りだった。まだその疑惑が確信に変わった訳でもないが、自分にそんな不安を抱かせる事にも何だかムカついていた。
「とりあえずご飯作ろ!」
今日は武道のシフトはなく、一日中オフのため、彼女が夕食を用意する約束だった。壁に貼り付けたフックに掛かった自分のエプロンを取り、身に付ける。腰元の紐をリボン結びにしながら武道は持て余す怒りを言葉にしていた。
「浮気してたらどうすんの?あー、待って超ムカつくんですけど!顔面凹ませて火炙りにした後、食事に青カリ盛ってやる!」
なんて大層な冗談だけれども。やりませんよ、流石に。そりゃあ、やってやりたいくらいだけど。
作ったアジの南蛮漬けを執拗にタレに漬け込みながら彼の帰りを待つ。大きな殺意を胸に、武道は味噌汁を掻き混ぜた。おたまの作る激流になめこと豆腐はコロコロと流されていった。
その時、チャイムが鳴り響く。インターホンの液晶を覗けば鶴蝶がいて武道はムッと唇を尖らせた。何だか顔を見るだけでムカついてきちゃったんだから。あー、腹立つ。本当に何なの。
取り繕って高い声で『はーい』と返事をする。ズンズンと廊下を歩き、凄い勢いでドアの鍵を開けた。
「おかえり、カクちゃん!」
ドアを開けて入って来た鶴蝶より先に声を掛けてやれば、彼は穏やかに笑う。そして只今と言葉を返した。
「これ」
箱?」
「俺はやってねぇからよく分かんねぇんだけどさ、ネットでバズったお菓子屋のケーキ買って来たんだ」
「あ、そうなんだーネットって言うかカクちゃんインスタとかしてないのにどうやって知ったの?」
「会社の女の子に教えてもらった」
………ふーん」
大分間が空いて返した言葉は素っ気ないものだった。彼女の様子に首を傾げた鶴蝶は『え、何だよ』と困惑する。
別に何でもないし」
「何かあったか?」
この男は武道の様子の変化を敏感に察して気遣ってくれる。そういう所が大好きなのだけれど、簡単に手玉に取られているだけな気もして少し悔しい。
それはカクちゃんが今日、一緒に歩いてた女の子の事ですかね?」
「え?いつの話?」
「お昼頃ですけど!」
「お前会社の近くいたのか?」
「悪い?」
「いや、見かけたなら声掛けてくれれば良かったのに」
残念そうに鶴蝶は言った。『一緒にランチ行けたのになぁ』と眉を下げる。
「もう家でご飯食べて遠くまでお散歩にしに行ってただけだし。てか、その女の子と行ったんでしょ。じゃあ良いじゃん」
「俺はタケミチと行けるの嬉しいけど」
そんな事を言われて嬉しくて浮ついてしまう。けれど軽率に簡単に、好きだなんて思って流されてしまうのはどうにも悔しい。『えへへー、ほんと?』と情けなく笑う前に手元にあるケーキの箱をギュッと握って堪えた。
何思ってんのかは分かんねぇけど別にやましい事はねぇよ?」
「何も言ってないでしょ。つかご飯食べたいし早く手洗いうがいして来てよね」
「おー」
態度が刺々しくなってしまったけれど、それでも何も言わずにニコニコと笑ってくれる鶴蝶は優しい男である。そのおかげで冷たくしてしまった事に何だか罪悪感を感じるし、こちらが悪者の様にも見えてしまうが、でもまあ事の発端は鶴蝶にあるので全てあの人が悪い。そう思いたい。
アジ南蛮を盛り付けて大皿をテーブルの真ん中に置く。ムッとした顔で淡々と料理を配膳しているとジャケットを脱ぎ、ネクタイを解いた鶴蝶が戻って来る。
「おわっ、良いじゃん。アジ?美味そう」
「あとご飯よそるだけだし座ってて」
「ああ、ありがとな」
炊飯器からホカホカのご飯をお椀いっぱいによそる。二つの椀をお互いの場所に置いて武道も椅子に腰を下ろした。二人で手をパチンと合わせ、いただきますと呟いた。
いつも通り笑い掛け、話でもしようかと努力はしてみるけれど到底そんな気分にはなれず、武道は硬い表情のまま無言でパクパクと食事をする。目の前でぼんやりと夕食をとる彼女に鶴蝶は『なあ』と声を掛けた
「あの女の子は会社の事務の子で決して浮気相手とかじゃねぇし、何なら友達かも分からねぇ」
「ふーん」
「女の子が喜ぶ様なものを相談したら、教えてくれてさ、お礼にランチ奢るって言ったからランチがてら案内してもらっただけ」
へー」
「別に仲良くねぇよ。俺あの子のプライベートの連絡先知らねぇし」
口でならどうとでも言えるでしょ。アジを一尾、大きく頬張る。酸味も甘味も程良く、なかなかの出来である。料理の腕は上々。料理スキルの上達も鶴蝶と同棲し始めた頃からの始まりなので、きっかけはこの男にある。あー、悔しい。今の武道を形作る色々なものは大概鶴蝶の存在が大きかったりする。
「タケミチ俺のスマホ見る?」
「は?」
鶴蝶からの突然の申し出に思わず大きい声を上げた。本当に突然だったからだ。この男はいきなり
、スマホなんて言うあまりにもパーソナルな部分をみすみす曝け出そうとしている。
「え、ごめん。何て言ったの?」
「いや、俺のスマホ見るかって」
「あ、全然聞き間違えてない
「別に見られて困るものはないからな。仕事用のスマホはまた別だし、プライベート用のスマホにはこれと言ったものは
そう言って鶴蝶は言葉を詰まらせた。そして『あ』と突然、何かを思い出した様な声をあげて口元に手を持ち上げた。
その瞬間、何だか突き落とされた様な気分がした。スマホ見るかって、やましいものはないからって、そんなのはきっと嘘なのだろう。本当は間女と連絡を取りまくってるし、やましい事もしている。わざわざ面と向かって申し出てみれば、こちらも遠慮すると予想してそう言って来たのだ。多分、きっとそう。こうしていつもは優しい顔をして羊みたいに無害そうな男も、結局は不埒な狼でしかなくてそれを誤魔化すために毎日羊の皮を被っているのだろう。
武道は大きく溜息を吐く。もう探りとか何だとか、全てが面倒になって雑に吐き捨てた。
「あー、もう良いから。あの子は間女じゃなくても他にいる訳でしょ。つか何?もしかして私の方が間女って事?はー、おもしろ」
「誰もそんな事言ってないだろ。独りごちて勝手に突っ走るのはタケミチの悪い癖だな。ほら、俺のスマホ。ロック番号言うから勝手に開けて好き勝手見ろ。その代わり、何見ても絶対に怒るなよ」
謎のお願いを述べ、鶴蝶はスマホを武道の方へ渡す。怠そうな顔をしてスマホを一瞥するも、やはり気になるものは気になるため、手に取る。それを見た鶴蝶は自分のロックの番号を口で伝える。
「ロックは0924」
変な番号」
え、お前覚えてねぇの?」
「へ?」
「俺達が付き合い始めた日付だろ」
あ、あれ?そう、だっけ?」
「こう言うのって女の方が覚えてるんじゃねぇのかよ」
そう言えばそうだったかもしれない。鶴蝶とは何だかもうずっと長く交際している様な気さえして、今更交際記念日だとかそんな物をいちいち覚える必要もないなと武道の記憶からはすっぽり抜け落ちていた。それに正直、たかだか交際し始めただけの日を毎回祝うのもアホらしいなと思っていたため、特に気にする事もなかったのだ。またその度に彼氏に何かを求めるのも鬱陶しいと思ったので。『えー』と呆れ声を上げる鶴蝶に武道は一変して慌てた声で謝罪する。
「ご、ご、ごめんたかだか付き合った日ってだけでどうこう言ってるのなんか鬱陶しいかなって思ってる内に忘れてた
毎年レストラン行ってるだろ」
……そう言えばそうじゃんえ、ごめん……
まあ、タケミチはそう言う所あるよな」
顔がサァっと青くなって体温が下がる様な心地がした。毎年レストランに連れて行ってくれていたのに、その度にプレゼントまでしてくれていたのにその意味すら分からなかったなんてあまりにも酷い。想像以上の尊大過ぎる態度に口が渇いていく。
「そっかそうだよね……何で気付かなかったんだろえ、え、ごめん本当に」
ふ、ふふ本当、あんなに露骨なのに何で気付かねぇんだよお前ふ」
「だ、だって、今日はこんな日だよって言ってくれなきゃ思い出せない……
「タケミチは馬鹿だから」
「ばっ……馬鹿ですごめん……
「怒ってないから良いよ。これから覚えててくれれば」
鶴蝶はその事実がツボにハマり、未だクスクスと笑っている。対して武道の指先は冷えたまま、気まずそうに目を逸らした。
「ほら、早くロック開けて確認しろよ」
もう良いよ何か私も悪いし申し訳無いし
「えー、でもそれじゃあ疑いは晴れねぇだろ。俺は無論、タケミチ一筋だけど口だけじゃ何とでも言えるし」
「んん分かったよ………それで、あのごめん。ロックの番号もう一回言って欲しい
小さな声で申し出れば、味噌汁に口を付けようとしていた鶴蝶が吹き出した。味噌汁を口に含む前だったから良かったものの、手元のお椀はグラグラと揺れた。
鶴蝶に笑われ、赤くなりながらスマホのロックを解除する。すんなりと開き、表示されたホーム画面に唾を飲み込んだ。
「えとやり取りできそうなものはLINE?だけ?」
「あとメール?」
「え、アプリ少なゲームとか入れてないの?」
「ああ、別に良いかなって」
「いつもスマホで何見てんの?」
「動画、とか?そもそも俺スマホそんな使わねぇし」
「そうだね」
試しにメールボックスを開いてみると会社の上司らしき人とのやり取りがいくつかある程度で全くもって目ぼしいものはない。LINEも見るが、友人の人数も最低限である程度見知った人ばかりであった。勿論、知らない人の名前はあるけれどそこに女っ気はない。
女の子と連絡先交換してる?」
「え、タケミチと橘と
「私の知り合い以外で」
「えー……
そこで途切れた。眉を顰め、首を捻るも思い浮かばないらしい。じっくりと見る限り、自分の友人である彼女達以外には女性らしい名前もアイコンも見つからなかった。
「無さそうだね」
「多分無い」
うん、私の誤解だったね。ごめんね」
「んー、タケミチがそうやって束縛してくれんの珍しいから新鮮だな。悪くねぇよ」
……でもなんか一応写真も見といて良い?」
「え、今スマホ返す流れじゃなかったのかよ」
「一応ね、一応」
アルバムのアプリをタップして立ち上げる。目の前でどこか気まずそうな表情の鶴蝶が少し気になるが、慣れた手付きで操作する。マイアルバムから沢山の写真達を表示した。
人差し指でスイスイと操作し、写真を見る。特に目ぼしいものはないし、自分の写真ばかりで何だか恥ずかしくなって来た頃、ふと何かを見て指を止めた。気になった写真を押して大きく表示させる。
「えっ、?」
その一枚を見た時、武道は思わず立ち上がる。ガタリと音を立て、椅子から腰を上げた彼女は大声で叫んだ。
「何これ!」
ほら、なんか言うと思った
「いや、本当に何なの!」
武道が見せたのは自宅のベッドで肌を晒して眠る武道とそんな彼女に顔を寄せ、カメラに目線を向ける鶴蝶の写真であった。いやいや、何だこれ。知らんし。全くもって記憶にないこの一枚に武道は動揺する。
「こんな写真知らないってか、こんなの、こんな、上何も着てないっていうか、その、下着も着けてないのって、やっぱ、その、そう言う事した後、みたい、じゃん。む、ねも、モロ見えてるしキスマーク……
まあ、そう言う事した後に撮った写真だし」
「っ!な、っな、なんっ、や、やめてよ!何でこんなの撮ってんの!恥ずかしいじゃん!」
「可愛いから?」
「理由になってない!」
そう言った行為をした後、彼女が疲れ果てて眠り落ちた後でこんな事をされていたなんて知りたくもなかった。しかし少し疑問に思う事がある。武道の記憶には下着も何も着けずに眠った記憶などないのだ。ノーブラは流石に胸の形も崩れてしまうため避けているし、どんな理由でどんなに疲れていても下着ぐらいは着けて寝ているはずなのに。それを問えば鶴蝶は『あー』と言葉を濁した。
偶に?あまりにも激しいと終わった後気絶するみたいに寝落ちするから、その時?とか?」
……え、もしかして本当偶に息も出来ないくらいハードでちょっと待ってって言ってんのに一切聞いてくれない時って、そう言う事なの?」
「まあ、タケミチ可愛いから」
「理由になってないし!」
顔を真っ赤にして絶叫する。食事中に下世話な話はしないという暗黙の了解があるが、今は話さざるを得ない。初めて知った衝撃の事実に目を丸くした武道はプルプルと震えながら言った。
「やめてよ!やだ!こんなの撮んないでよ!恥ずかしいじゃんかよ、バカ!」
「えー、悪い」
「マトモな写真なら他にもいっぱいあるんだからそれ見てなよ!」
「これも可愛いだろ。ちょっと顔赤い所とか、色んなものでちょっと湿っててエロい所とか」
「知らないし!え、本当やだ!あり得ない!バカ!変態!今度激しくしたら一週間口きかないから!」
「え」
「やだ!アホ!すけべ!写真全部消す!この世から消滅させるんだから!」
「ちょ、待っ」
アルバム内をざっと見てそれっぽい写真を全て一括で消去する。ゴミ箱からも完全に消してスマホから恥ずべき記憶を抹消した。スマホを返され、鶴蝶は何だかがっかりした様子だが、知らんこっちゃない。ぷぅと頬を膨らませ、ジッと鶴蝶をひと睨みしてやった。浮気の疑いは晴れたけれど、まさかこんな事を知ってしまうなんて。武道は皿に取った一尾のアジを頬張り、ヤケになったかの様に勢い良くご飯をかき込んだのだった。
因みに同じ写真のデータはパソコンにも送ってあるのでスマホのデータを消した所で完全にこの世から抹消した事にはならない。鶴蝶はがっかりはしたけれどそこまで大きく落胆した訳ではないし、怒られたが特に反省もしていない。まあ、ついぞ知られる事もないだろうと鶴蝶は人知れず微笑んでいた。

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